SAP建築事務所では2011年よりツーバイフォー工法を採用した高齢者施設の企画商品化を進め『ほっとエール』シリーズとしてリリースいたしました。 以来全国各地で地域のゼネコンとともに多くのプロジェクトを進めてきた経験をもとにサ高住構築への基本情報や木造２×４工法採用のこだわりなどをお伝えします。

サ―ビス付き高齢者向け住宅（サ高住）とは？

 
高齢者住まい法に基づいた高齢者のために計画される住宅です。60歳以上の高齢者が対象で、少なくとも安否確認サービス、生活相談サービスの提供が必要（一般型）で、その他食事の提供、介護サービスの提供、健康管理などを行う施設（介護型）もあり、建築プロジェクトの初期段階より幅広いニーズに対応できる施設計画が可能です。
国の見通しによると65歳以上の高齢者数は2042年には3878万人となりピークを迎える予測です。これにより高齢者の住まいの確保が今後も重要となります。民間企業も参入可能で国の補助金制度もあり近年注目の施設建築です。母体となる法人も、介護サービス、不動産、建設、医療、社会福祉、NPO法人等幅広い業種で事業が可能です。

補助金制度の充実、普及の加速

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢社会を迎え不足する高齢者住宅の事情もあり国も推進しています。
補助金制度もあり、その利用が増加しています。
 
【令和２年補助金の事例】
面積　　　　　　　　　　　　限度額　　　　　補助率
新築居室　床面積25㎡以上　　120万円/戸　　　1/10
新築居室　床面積25㎡未満　　90万円/戸　　　 1/10
 
私たちは、事業者様のサポート役として、補助金申請における行政との詳細打合せや、スケジュール管理、図面、各種書類作成等、複雑な補助金申請のサポートも行っております。
多くの実績と共に事業者様の事業円滑化に向けてバックアップ致します。

サ高住の概要

【入居対象者】：60歳以上の高齢者（60歳未満の要支援、要介護認定を受けた者）
【居室の定員】規定なし
【職員配置】サ高住運営において日中の人員配置には以下のようにいずれか職員配置が必要となります。
介護福祉士、社会福祉士、ヘルパー2級以上、社会福祉法人・医療法人・居宅サービス事業所等の職員等
※サービスによっては、夜間の常駐も必要になります。
【入居契約】住居の契約は、ほとんどが賃貸契約となります。地域によって入居金に差がありますのであらかじめ周辺の賃貸相場を調査する必要があります。
居住の安定が図られた契約内容が必須で、サービス付き高齢者向け住宅の参考とすべき入居契約書の概要等公開されています。

サービス付き高齢者向け住宅の建物の設置基準

居室の床面積：原則25㎡以上（ただし、居間や食堂キッチン等共用部分が住宅の部分が十分な面積を有する場合は18㎡ 以上にできます）
※共用部分の算定方法は各県や行政によって異なりますので確認、協議が必要です。
防耐火設計：主に準耐火建築物、（規模によって耐火構造）
求められる室：原則居室内に台所、収納、トイレ、洗面設備、キッチン、浴室
（ただし共用部に各行政の基準を満たすキッチン、収納、浴室等設けた場合は各住戸に設置しなくても良い）

高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則第 34 条第１項第九号の国土交通大臣の定める基準
平成 13 年国土交通省告示第 1296 号
加齢対応構造基準（一部抜粋）
住戸内廊下の幅：78cm以上
居室の出入口：75cm以上
浴室の出入口：60cm以上
特定寝室面積：9㎡以上
浴室の大きさ：戸建以外、短辺の120cm以上、面積1.8㎡以上
ﾄｲﾚの寸法：長辺の内法130cm以上
エレベーター：出入口800mm以上、ホールに1.5m各のスペース確保
その他、住戸内の床段差無し(5mm以下)手すり設置基準や、共用階段の基準等があります。
 
 

防耐火設計と構造設計の重要性

私たちは耐火構造や5000㎡を超える大規模の特養を設計し、全国各地のゼネコンと共に創り上げて来ました。
床面積や、用途によって求められる防耐火設計（防火構造、準耐火構造、耐火構造）が複雑に変化したり、なるべく柱を設けたくない（大空間）といった難しい構造設計のニーズもあり、木造での実績あるチームに依頼する事が事業成功の近道となります。
さらに建築基準法と並んで消防法においても無窓階の判定や消防用設置等の複雑で厳しい規制がありますので各地域の消防予防課と事前の協議が必須です。

建築コストを意識する理由

借入金の年間返済金額＜家賃収入となるように建築コストを算定。建築にかけられるコストには限りがあります。
原則として介護報酬を別として建設費を返済していくのが理想で、私たちは運営後に事業者が建築費の返済が負担にならないように、当初より、各専門が建築にかかわるコストを強烈に意識して計画を進めていきます。
 

そのコストかけますか？　
コスト削減に断然有利！　システム化された木造６面体ユニット

サ高住設計をスタートした2011年～の初期はいわゆるデザインを重視して計画を行う事も多かったのですが、そこまでコストがかかるなら必要ない！？という事業者様の声が意外にも多い事がわかってきました。
華美な装飾や豪華な空間は必要なく、求められているのは堅実で、安心して住めて事業採算性の良い実直な施設であり、まさにツーバイフォー工法の得意分野です。
さらにSAP建築事務所では、コンストラクションマネジメント/CMの考え方を取り入れて、如何に無駄なコストを削減して行くかを意識して設計、施工を進めて行きます。
 

木の温かみ、高品質とコスト削減で顧客満足度の高い施設を

私たちは、多用途に広がる施設建築に対応し、積み上げた情報を集約し性能、コストで最適化した規格プランをアーカイブし、システム化された２×４工法６面体ユニットを構築。
計画依頼を受ければ、すぐに走れる、スタートできる体制が整っています。
コンストラクションマネジメントと空間の規格化によって、コストをカットしながら、２×４工法の高品質と木の暖かさ等、多くのメリットの実現により、全国のサ高住運営事業者様に選ばれています。
 
 

SAP建築事務所『５つの実り』を実践し、
設計、竣工したサービス付き高齢者向け住宅

 
サ高住の計画にあたり規模によって、防耐火設計、消防法等様々な制約を受けます。SAPでは２×４建築の多くのメリット、品質確保と適切なコストコントロールを行うため、設備設計、電気設計、構造設計とチームを組んで初期段階より設計業務を進めていきます。